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■『戦旗』1644号(10月5日)4-5面

 
アジア集団安保体制構築に向かう帝国主義
 今こそ反帝国際共同闘争を前進させよう

                               吉川 薫
 



 米国を先頭にした帝国主義は、同盟国・友好国との連携を強化し、中国包囲に向けた動きを加速させることで、台湾海峡をはじめアジア太平洋地域の軍事緊張を大きく高めている。日帝―岸田政権は、米帝の戦略に積極的に結びつき、「台湾有事」を煽動しながら、琉球弧を最前線にした戦争体制づくりを急ぎ、大軍拡・大増税をおし進めようとしている。
 そのような状況の中、アジア太平洋地域を舞台にして、二国間軍事同盟の強化にとどまらず、日米豪印のQUADや米英豪のAUKUSに加えて日米韓や日米比など、多国間安保協力の枠組みの形成が進められている。それらは地域の対立と緊張をいっそう拡大させるものである。
 プロレタリア国際主義にもとづくアジア太平洋地域の労働者・民衆との連帯、反帝国際共同闘争の前進はますます重要な課題となっている。今年五月のG7広島サミット粉砕闘争の成功を引き継ぎ、日米帝国主義によるアジア太平洋支配、軍事強化、戦争体制づくりと対決する反帝国際共同闘争の前進を勝ち取ろう。「日米のアジア支配・侵略とたたかうアジア・キャンペーン」(AWC)は、きたる一一月に韓国でのAWC―CCB会議を予定している。AWC運動を支持し、その闘いの前進を共に勝ち取っていこう。


●1章 帝国主義が加速するアジア太平洋の緊張と対立

 米帝の歴史的没落のすう勢と中国の世界的大国としての台頭のなかで、アジア太平洋地域は、米帝にとって中国と対抗し、その世界的な覇権を何とかして維持するための最大の抗争の舞台となってきた。二〇一一年にオバマ政権が海洋戦力の60%をこの地域に振り向けるとする「リバランス(再均衡)戦略」を発表して以降、トランプ政権による対中「貿易戦争」の発動を経て、今日のバイデン政権に至るまで、形を変えながらも中国への対抗と牽制、そのためのアジア太平洋地域における同盟国・友好国(パートナー国)との連携強化が大きなテーマとなってきた。とりわけバイデン政権は、トランプ前政権が当時の日本の安倍政権の構想を採用して打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」戦略を引き継ぎ、それを様々な分野でいっそう拡大・強化している。
 周知のように昨年一〇月にバイデン政権が発表した「国家安全保障戦略」は、中国を「国際秩序を作り変える意図と、それを成し遂げるための経済・外交・軍事・技術力とを併せ持つ唯一の競争相手」と位置づけ、「中国との競争は他の領域と同様に、明らかに今後の一〇年間が決定的な時期になる」とした。
 この報告はまた、「インド太平洋地域」について、「二一世紀の地政学上の中心になる」とし、米国にとって「死活的利害」がかかった地域であり、「インド太平洋ほど、世界と米国人にとって重要な地域はない」とまで述べられている。それゆえ、地域別戦略の筆頭に「自由で開かれたインド太平洋の推進」が挙げられ、この地域の米帝の同盟国である「オーストラリア、日本、韓国、フィリピン、タイに対する鉄壁のコミットメント」を確認すると同時に、QUAD(日米豪印安保対話)やAUKUS(米英豪安保枠組み)の重要性、ASAEN諸国など友好国との協力、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の推進などがあげられている。
 バイデンは「民主主義対専制主義」、「自由、民主主義、共通の価値観」といった言葉を使いながら、自らインド太平洋戦略の下への他国政府の取り込みを進めてきた。バイデン政権の国家安全保障戦略の公表から約一年が経つなかで、米帝を先頭した中国包囲の動きはさまざまな領域で加速し、アジア太平洋域の緊張はますます拡大している。
 昨年五月に発足し、日米韓、オーストラリア、インド、ASAEN諸国、フィジーなど一四カ国が参加するインド太平洋経済枠組み(IPEF)は、今年五月にサプライチェーン(供給網)交渉を実質妥結し、この九月には協定書の概要が公表された。IPEFは、貿易、サプライチェーン、脱炭素などクリーン経済、反汚職など公正な経済の四つを柱とするとされている。しかし、貿易に関しては関税の引き下げや撤廃については盛り込まれず、中国との競合・対立の深まりのなかで、中国からの輸入の途絶に備えたサプライチェーンの構築が米日帝国主義にとって最も重要な柱であることは明らかだ。
 協定書の概要では平時からの対応として「重要分野」や「重要品目」を各国が特定するとしており、それが何かは明確にしていない。しかし、念頭に置かれているのは半導体や重要鉱物、いわゆるクリーンエネルギー技術などである。それは日米あるいは日米韓の首脳会談において繰り返し言及され、台湾の半導体企業の米国や日本での新工場の建設計画などによっても示されている。
 今年五月のG7広島サミットの際に開催された日米豪印によるクアッド首脳会合も、半導体、重要鉱物、クリーンエネルギー、量子など戦略的技術への投資を促進するための「日米豪印投資家ネットワーク」の立ち上げを打ち出した。
 バイデン政権はこうした動きを「デカップリング」(分離)ではなく、「デリスキング」(リスク低減)と呼んでいるが、台湾や韓国の半導体技術を囲い込みつつ中国への輸出規制を強める米日帝国主義の動きは、各国の関連企業を翻弄しながら、中国との対立をますます拡大させるものとなっている。
 軍事的には、琉球弧から台湾、フィリピンやインドネシアの諸島群を経て南中国海に至るいわゆる「第一列島線」を焦点にした戦力配置が進んでいる。これに関しては、安保三文書に見られる日帝―岸田政権の動きが顕著だ。琉球弧における自衛隊配備の増強、ミサイル・レーダー基地の建設・強化は周知のところである。昨年一一月の日米共同統合演習キーン・ソード23や、今年七月のノーザン・エッジ23、この九月に実施されたオリエント・シールド23、一〇月に実施予定のレゾリュート・ドラゴン23などの大規模な日米合同軍事演習は、琉球弧を戦争の最前線に見立て、そこに向けて全国の自衛隊や米軍を集結させる訓練として行われている。
 台湾に関しては、米国から台湾への武器売却が二一年一月のバイデン政権の発足以降すでに一一回行われている。今年に入っても対レーダーミサイルや空対空ミサイル、高性能爆薬、地雷敷設システム、訓練提供など三回、約一九七〇億円に及んでいる。また、米国と台湾の間では経済連携の強化に向けた新たな貿易枠組みとして「二一世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」の第一段階の協定書が今年六月に双方で調印された。これは、米国主導で発足した「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)を補完するものだ。
 太平洋の島嶼国の取り込みをめぐる動きも激しい。一帯一路構想や安保協力を通してこの地域の国々との関係を強める中国に対抗して、米国は昨年九月、ホワイトハウスで大平洋諸島一四カ国と初めての首脳会談を開催し、「米国太平洋パートナーシップ宣言」を発表した。さらに、巨額の経済支援を背景に政治的・軍事的な影響力を強めていこうとしている。とりわけパプアニューギニアとの間では今年五月に防衛協力協定が締結された。後に明らかになった内容では、「台湾海峡有事」などを念頭に「不測の事態への対応」をするものとして、米軍がパプアニューギニアの海軍基地や空港、港湾など六カ所を少なくとも今後一五年間使用することができるというものだ。
 これら島嶼国に近く以前から政治的・経済的な影響力をもってきたオーストラリアも、安保・軍事分野での関係をさらに強めている。日本政府もまた、フィジー、パプアニューギニア、トンガに対して実施してきた自衛隊による「能力構築支援」の対象国の拡大、政治的・経済的関係強化など、米豪と歩調をあわせている。


●2章 強まる日米韓・日米比の軍事的連携

 アジア太平洋地域をめぐって、米国は同盟国・友好国との連携を繰り返し述べてきた。それは自らの「インド太平洋」戦略に同盟国・友好国を組み込もうとするものであると同時に、もはや一国では覇権を維持できない米国の力の減退を示すものでもある。
 そうしたなかで、二〇一七年にQUADの初の首脳会談が行われ、二〇二一年には米英豪の新たな安保枠組みであるAUKUSの創設が発表された。AUKUSに関しては米英によるオーストラリアへの原子力潜水艦の供与が打ち出され、二〇二七年にはその配備が始まる。超音速兵器の共同開発も進められようとしている。
 すでにある米国と日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイとの二国間軍事同盟に加えて、様々な枠組みを重ね合わせた帝国主義が主導する集団的な安保体制の構築が進められようとしている。欧州帝国主義もまた、中国への対抗とけん制を目的に、艦船の派遣と多国間合同軍事演習への参加などアジア太平洋域での軍事展開を強めてきた。また、フランスの反対で遅れているものの、NATОの東京事務所の開設に向けて動き出している。

▼①三国軍事同盟に向かう日米韓

 このような帝国主義によるアジア大平洋地域のおける重層的・集団的な安保体制の構築の一部として、日米韓の軍事協力はいま新たな段階を迎えようとしている。さる八月一八日に米国の大統領別荘キャンプ・デービッドで開催された日米韓首脳会談とそこで発表された「キャンプ・デービット原則」、「日米韓共同声明」、「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」を明確に示すものとなった。
 韓国での尹錫悦政権の発足以降、日米韓の三国の軍事協力とそのための協議は急速に加速してきた。尹錫悦政権の発足直後の昨年五月にはバイデンがいち早く韓国と日本を訪問し、「核を含む拡大抑止」や「台湾海峡の平和と安定の重要性」、「日米韓の安保協力の重要性」を強調する米韓共同声明・日米共同声明が発表された。
 その後、昨年六月のNATО首脳会合、昨年一一月のASEAN首脳会合の際に日米韓首脳会談が実施され、また、弾道ミサイルの追尾・迎撃などを目的とした三国軍事演習が行われてきた。
 今年三月に韓国政府が徴用工問題の欺まん的な「解決策」を発表し、岸田政権が日帝の朝鮮植民地支配とその加害の責任を居直ったまま、おごり高ぶった態度でそれを受け入れ、韓国への輸出規制を解除した後、三国の防衛実務担当者の会合や合同軍事演習の定期化が打ち出されるなど、日米韓の軍事協力はさらに進んできた。今年五月のG7広島サミットの際にも三国の首脳会談が行われている。
 そうした進展の上に、この八月のキャンプ・デービッドでの日米首脳会談は、「日米同盟と韓米同盟の戦略的連携を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」(共同声明)と宣言した。実質的な三国軍事同盟の形成に向かう宣言に他ならない。
 「日米韓三か国は、インド太平洋国家として、国際法の尊重、共有された規範及び共通の価値に基づく自由で開かれたインド太平洋を引き続き推し進める」(キャンプ・デービット原則)、「我々は、領域横断的に、また、インド太平洋及びそれを越える地域において、我々の協力を三か国で拡大し、我々が分かち合う大きな野心を新たな地平へと引き上げることにコミットする」(共同声明)と述べるように、それは朝鮮半島のみならず、中国との対抗を念頭に、アジア太平洋全域およびそれを超える地域を射程にしたものである。実際にも共同声明は、「台湾海峡の平和と安全の重要性」とあわせて、中国を明示して「インド太平洋水域でのいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する」と述べている。
 また、これらの文書は、軍事的な安全保障を中心にしつつ、経済安保のための連携強化、金融安定化、ASEAN諸国や大平洋島嶼国との関係強化、あるいはウクライナ支援など包括的なものとして打ち出されている。
 同時に、重要で特徴的な点は、「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」において、「我々の共通の利益及び安全保障に影響を及ぼす地域の挑戦、挑発及び脅威に対する三か国の対応を連携させるため、三か国の政府が相互に迅速な形で協議することにコミットする。こうした協議を通じ、我々は、情報共有を行い、対外的なメッセージングを整合させ、対応を連携させる意図を有する」と宣言していることである。
 これは「台湾海峡有事」における自衛隊のみならず韓国軍の動員など、有事の際の日米韓の軍事的な共同対応をおし進めることを目的にしたものだ。これまでの共同声明からの大きな飛躍であり、日米韓三国軍事同盟の形成を現実にするものである。
 こうした内容の下に、日米韓三国の首脳会談や外務・防衛大臣会合などの定期化、共同訓練の定期化、レーダー情報の即時共有などが方針として打ち出されている。また、共同声明においては「朝鮮半島の非核化」ではなく、「北朝鮮の完全な非核化」が述べられ、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵対姿勢が強調されている。
 それが台湾海峡や朝鮮半島をはじめ東アジアの軍事緊張を拡大することは必至であり、中国は「小さなNATOをつくるもの」として非難している。われわれはこの日米韓軍事同盟の形成に向けた動き、日帝の侵略戦争・植民地支配の加害の歴史の居直りの上になされる岸田政権の戦争政策と断固として対決していかなくてはならない。

▼② 日米比の軍事協力強化

 また、このかん日米比の軍事協力の枠組み形成に向けた動きも進んでいる。
 今年六月一六日、東京で日本、米国、フィリピンの各政府の安全保障担当官による初めての会合が開催された。日本からは国家安全保障局長の秋葉剛男、米国からは国家安全保障問題担当の大統領補佐官サリバン、フィリピンからはアニョ国家安全保障担当顧問が出席した。ここでは、「インド太平洋地域の平和と安定を維持するため、三か国協力及び日米同盟・米比同盟に基づく対処力を強化することの重要性」(共同プレスリリース)が強調され、三カ国の防衛協力を推進していく決意が語られている。サリバン大統領補佐官は会合後、「これまでに実施したことがない革新的な三か国会合を行った」と述べている。
 米軍基地撤去後のフィリピンにおいて、米帝は米比訪問軍協定(VFA)や米比合同軍事演習を通して、フィリピンにおける米軍展開体制の強化を図り、二〇一四年に締結した米比防衛協力強化協定(EDCA)によってフィリピン国軍の基地のうち五カ所に米軍が恒常的に駐留できる拠点を確保した。今回の米比合意を通してこの軍事拠点は計九カ所に拡大した。
 米帝・バイデン政権は、昨年のフィリピン大統領選で親米派のマルコスが勝利した機会を利用して、この米軍の展開拠点の確保・拡大を追求してきた。今年二月の国務長官オースティンのフィリピン訪問に際しては、フィリピン国内で米軍が使用できる「軍事拠点」を新たに四カ所、計九か所に拡大することにこぎつけた。
 これらの軍事拠点の場所は具体的には明らかにされていないが、フィリピンで台湾に最も近いルソン島北部やスプラトリー諸島(南沙諸島)に面するパラワン島のフィリピン国軍基地などが報じられている。
 今年五月のマルコスの訪米時には、「米比二国間防衛ガイドラン」が締結された。米比では初めての防衛ガイドラインの策定となる。そこでは、米比相互防衛条約にもとづく「相互防衛行動の発動」の対象として、「南中国海の全ての海域を含む太平洋において、両国の沿岸警備隊含む公船、航空機、軍隊への武力攻撃があった場合」が初めて明記され、フィリピンと中国が領有権を主張して対立するスプラトリー諸島をはじめ南中国海での米軍の介入の意図を鮮明にしている。
 さらに、南中国海での「合同哨戒活動」米軍のローテーション展開を通した米比両軍の相互運用性の強化と同時に、「比米二か国の防衛活動への第三国の参加、オブザーバー参加の機会提供を含む、三ヵ国間、多国間の安全保障協力」が打ち出されている。マルコス訪米時の米比共同声明においては、「比日米間、比豪米間の三カ国協力の枠組みを発足させる」ことへの「期待」が表明された。
 こうした米比間の動きと連携し、日帝もフィリピンとの軍事協力の強化を図ろうとしてきた。六月の東京での三カ国安保会合の共同プレスリリースは、「米比間の最近の進展及び防衛・軍当局関係者の相互訪問を強化・円滑化する枠組みに関する議論に係る日比間の最近の進展」に触れている。
 実際、このかん日本政府は自衛隊のフィリピンへの展開と駐留に向けて日比間の「円滑化協定」の締結に向けた動きを進め、米比合同軍事演習への自衛隊の参加、「人道支援」や「災害救援」を口実にした二国間・多国間軍事演習を通してフィリピンとの軍事的関係を強めようとしてきた。また、自衛隊の防空レーダーや海上保安庁の巡視艇のフィリピンへの供与なども進められている。
 昨年には日比の防衛・外交大臣会合(2+2)が初めて開催され、陸自幕僚長、フィリピン陸軍・海兵隊司令官、米太平洋陸軍・太平洋海兵隊司令官による初会合が日本で開催された。
 この日米比の三国間の安保協力の枠組み形成に向けた動きはまだ開始されたばかりだが、アジア太平洋地域の軍事緊張をまたひとつ拡大させている。フィリピンを自衛隊によるアジア軍事展開のための橋頭保として利用しようとする日帝の策動、フィリピンへの軍事介入を拡大する米帝の動きを許さず、フィリピンの労働者・民衆への連帯の進めていかなくてはならない。


●3 反帝国際共同闘争のさらなる前進を

 米帝を先頭とする「インド太平洋戦略」は、中国との経済関係をめぐる米国と独仏の態度の違いなど、帝国主義間の矛盾を顕在化させながらも、年を追って具体的な形を伴って推進されてきている。それは、帝国主義の思惑通りに進むものではないにしても、アジア太平洋地域の政治的・軍事的緊張をますます拡大し、この地域の労働者・民衆への抑圧を強めている。また、排外主義と戦争の危機を煽り立てながら進められる各国・地域の政府による軍備増強は、日本だけでなく、台湾や韓国においても軍事費の大幅増額をもたらしている。
 こうした状況のなかで、戦争の危機を煽り立てる日米帝国主義と対決し、アジア太平洋地域における反帝国際共同闘争、反戦・反基地の国際共同闘争の前進を力強く切り拓いていかなくてはならない。排外主義煽動と真っ向から対決し、安保三文書を通して琉球弧を最前線にした侵略反革命戦争体制の本格的構築をおし進める日帝―岸田政権と対決し、そのなかからアジア各地の労働者人民と連帯・結合した闘いをつくりだし、発展させていこう。岸田政権はまた、福島原発事故による放射能汚染水の海洋投棄という歴史的犯罪へと突き進んだ。これを徹底弾劾し、その即時中止を求める闘いを推進していかなくてはならない。
 「日米のアジア支配・侵略とたたかうアジア・キャンペーン」(AWC)は、きたる一一月に韓国でアジア各地の民衆団体の参加の下にAWCキャンペーン調整委員会(AWC―CCB会議)を開催する。各国・地域とその民衆運動の最新状況を共有し、具体的な共同闘争の方針をつくりだしていくためのものだ。AWC運動を支持し、その闘いの前進を共に勝ち取ろう。
 台湾海峡や朝鮮半島を焦点とした日米帝国主義の戦争策動、日米韓・日米比をはじめアジア太平洋全域で推進される重層的・集団的な安保体制の構築、岸田政権による放射能汚染水の海洋投棄、歴史歪曲など、現在のアジア太平洋地域の緊迫した情勢下、これらの課題に対し労働者・民衆の国際共同闘争を発展させていこう。
 一九九二年に発足したAWCは、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、米国、日本などの民衆団体の参加によって、反戦、反基地、反原発、新自由主義政策反対などの課題における共同闘争、G7やAPEC、WTОなど帝国主義が主導する国際会議に対する現地共同闘争、各地の反動政権による民衆抑圧に対する相互支援・連帯行動など、アジア各地の労働者・民衆の共同闘争を三〇年を超えて具体的に推進してきた。今年五月のG7広島サミット粉砕闘争においても、AWCのネットワークから台湾労働人民協会、フィリピン新民族主義者同盟(BAYAN)が参加し、入国拒否弾圧との関係で直接参加できなかったAWC韓国委員会からはビデオ・メッセージが寄せられた。それらは広島現地での闘いの成功に大きく貢献してきた。
 いま日米帝国主義と各地の反動政権が密集し、帝国主義が主導するアジア大平洋地域における政治的・経済的・軍事的支配の強化に向けた策動がますます深まるなかで、これと対決するアジア太平洋地域の労働者・民衆の反帝国際共同闘争の前進が求められている。われわれはAWC運動を支持し、その歴史的な闘いの蓄積と地平、G7広島サミット粉砕闘争の反帝国際共同闘争としての成功を引き継いで、きたる韓国でのAWC―CCB会議の成功を共に勝ち取っていこう。
 プロレタリア国際主義に立脚し、排外主義との戦争策動、分断と対立を加速させながらアジア太平洋支配の強化に進む日米帝国主義の打倒に向けて闘おう。

 


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